歯がしみるのはなぜ その4
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歯がしみる場合の2つ目は、
根の付け根部分のエナメル質がはがれて、根面が露出することにより、過敏になるケース。でしたね。これについて、今回は原因を説明したいと思います。
従来はこのエナメル質がはがれる原因として、長らく、強すぎる歯ブラシの圧力で、歯根が削れてはがれると説明されてきました。しかし、今日先進的な歯科医の間では、多くの場合は、そもそもの原因は、過大な咬合力ではないかと考えられています。
咬合力にも垂直方向の力と、水平方向の力に分けて考えなければなりませんが、そのうちの水平方向の力により、歯が揺さぶられて、結果としてエナメル質が剥がれるのではないかと、考えられています。
そのむかし、私が小学生のころ、「筆箱は象が踏んでも壊れない!」というコマーシャルがありましたが、その実、多くの小学生たちは、誤って机から筆箱を落としてしまうと、いとも簡単に筆箱が壊れてしまうことを、体験していました。これは、おそらく、象がメーカーに忖度して力加減をしていたのではなく、筆箱の落下の際に、筆箱が地面に側方から衝突したことによる、破損でした。つまり物体は「衝突方向の違いにより、破損のしやすさは大きく変わるものである」という物理法則を当時の小学生は、発見していました。しかし当時はまだこの像の法則が、「知覚過敏」にも当てはまることは、周知されていませんでした。
歯ブラシの圧力だけが原因ならば、なぜエナメル質のヘリの部分、いわゆる歯の根元の、エナメル:セメント境界部だけに限局してすり減るのか説明が付きません。
これは実際にエナメル質のはがれている方の歯の表面には、咬耗面といわれる、歯が過大な力で、こすれあわされてすり減ることにより生じる削合面が観察されることが多いことから、近年指摘されるようになってきました。
この過大な水平力は、意識的にコントロールできない夜間就寝中に、「歯ぎしり」という形で生じることが多く、歯のエナメル質の欠損が大きい方に、お伺いすると実に多くの方が、ご家族に「歯ぎしり」の音を指摘されていて、同時に咬耗面の存在と、「知覚過敏」が確認できます。それゆえこの過大な「咬合の水平力」をどうコントロールするか?が、歯がしみる「知覚過敏」を治めるポイントとなります。